今回は前回予告しました通り、『タナ障害』という症状についてお話いたします。
当院では膝痛で通われる患者様も多くいらっしゃるのですが、その中でもまれにこの『タナ障害』に悩まされる患者様がいらっしゃいます。
その特徴は何といっても『激痛』。
今回はこの『タナ障害』とはなにか、その原因と治療法は?について解説していきます。
タナ障害について
『滑膜ヒダ障害』とも呼ばれる、膝に引っ掛かりや強い痛みが生じる、症状のことです。
膝のやや内側、前面、外側に痛みや引っ掛かりが生じ、膝の曲げ伸ばしがしづらくなったり、ひざがはれたりします。
タナ障害の原因
膝の奥や内側には『滑膜ヒダ』と呼ばれる部分があります。特に膝において特別な機能を果たしているわけではないのですが、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、何かの拍子にこのヒダが膝のお皿と太ももの骨(大腿骨)のつながった部分に挟まってしまうことで、タナ障害は起こります。
実際当院でも、最近年配の方でご自身で股関節のストレッチをしていた時にこのタナ障害になってしまった患者様がいらっしゃいました。
タナ障害の厄介なところ
タナ障害はその痛みや可動域の特徴が似ているため、『半月板損傷』と間違われることがあります。
確かに、半月板損傷の時と同じような処置をするとその一時は痛みが引くのですが、結局その夜や翌日にひどく痛みが出てしまい、膝がうまく動かなくなってしまいます。
タナ障害の診断と治療
タナ障害と半月板損傷を見分けるポイントは、詳細な痛みの箇所をしっかりと特定することです。
確かに、膝が動かしづらくなったり、痛みが生じている箇所が似てはおりますが、よくよく半月板で痛むはずのところを触診すると、実はその部分ではなくちょっとずれたところに痛みが生じます。
タナ障害の治療には保存療法を用いることが一般的ですが、アスリートでなくても観血療法(手術などの外科手術や外科的処置のこと)を選択することもあります。半月板損傷では手技療法を行いますが、タナ障害は逆に滑膜ヒダが挟まったことによって、強く膝が炎症しているため、まずはその炎症を抑えてあげることが重要です。もし、痛みの箇所が詳細に特定できている場合のみ特別は手技療法で膝のお皿と太ももの骨のかみ合わせを調整してあげます。
温熱治療やシップなどをし、安静にして数日たつと次第に炎症が治まり、痛みが引いていきます。実際に、先ほどの患者様も保存療法を開始して5日くらいで大分症状が治まりました。
ですが、タナ障害は長らく放置して悪化すると手術にも発展するような症状ですので、必ず膝に引っ掛かりを感じたり、強く痛みが生じる場合は、お近くの接骨院・整骨院に通院しましょう。当院でも治療は行いつつ、かなり状態が悪い場合は整形外科に紹介状を書き、そちらに行って頂くよう患者様に御願いすることがあります。
タナ障害の予防法
一般的にタナ障害は膝のストレッチによって運動後に膝の疲労を逃がしてあげることで予防できると言われています。
また、膝の可動を安定させタナ障害になることを防ぐために、太ももの筋肉を鍛えることも効果的です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は「生まれつきバネ指で悩んでいる女性の方の経過」についてお話しします。
次回の更新は2021/11/29です。
宜しくお願い致します。
ふじと接骨院院長
藤戸慎一郎